福島から出て最初に移り住んだ町は神奈川県藤沢市でした。右も左も分からなかった私が、とにかく市役所に向かう事になり藤沢駅をウロウロしたのを、「ドキドキ」しながら思い出します。その時出会った樹木が「山桃」でした。

藤沢駅を出てすぐ左に行けば市役所の方に抜けられると聞いたのですが、何口を出れば良いのか聞くのを忘れ「ウロウロ」。何とか案内板を見ながら市役所方面を見つけて歩き出してすぐ「ん?」と、鼻を突く甘酸っぱい匂いに足を止めました。「何の匂いだろう?」と思いながらまた歩き出し、その原因が何であるかすぐに発見する事になりました。歩道一面に「グチャグチャ」に踏み潰された「山桃」の実。当時はそれが何の果実なのかはまだ知らない私でも、何らかの実である事はその甘酸っぱい匂いからも想像できた。その状況は市役所まで続いていて、時折つぶれていない実を見つけブツブツした赤い実に「これまた気持ちの悪い実だな~」なんてつぶやきながら市役所に入った。

当店にも三本の「山桃」が植えられていて実が熟す頃には同じ状況になります。ポタポタ落ちた実は車に踏みつけられて甘酸っぱい匂いを放ちます。食いしん坊の私は夜になるとフォークリフトで果実の側まで上がり「ウシシシ~」と食べるのが楽しみなのです。

ところで「山桃」は桃の仲間ではありません。桃はバラ科の植物ですが「山桃」はヤマモモ科という独立した植物になります。果実が桃に似る事からその名が付けられたようです。

今、当店の「山桃」は花を沢山咲かせております。また今年も例年と同じように沢山の実をつける事だと思います。そしてその甘酸っぱい香りに私はあの「ドキドキ」して降りたった藤沢の「山桃」を思い出すでしょう。そして来年も、またその次の年も、ずっと思い出せる事を願いたいと思います。

ブラックドッグ・セレナーデ

 



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?